GHG削減に向けた要求はますます厳しくなっており、多くの先進国が2050年にカーボンニュートラル達成を目標として取り組んでいる。国際海運においても国際海事機関(IMO)におけるGHG削減戦略の見直しが行われ、2050年ごろにはGHG排出のネットゼロを目指すこととなった。このため、GHG削減のための技術開発、運航手法による省エネ化、政策的手法の導入などが進められている。水素・アンモニアなどの脱炭素燃料の採用が将来的には期待されるが、現時点ではエネルギー密度の低さから課題は多く、短・中期的には炭素燃料の活用は避けられないものと思われる。この中でもLNG、LPGの利用は水素・アンモニア利用までのブリッジ燃料として注目されているが、従来燃料に比べてCO2削減率は25%程度と見込まれるため、船上でのCO2回収(OCCS)の実現が望まれる。IMOにおいても現在、OCCSの議論が始まったところである。 本研究では、経済性や安全性も考慮して、CO2ガス分離に一般的なアミン系薬剤を利用する方式ではなく、冷却・圧縮によるCO2の凝華を利用する技術をガス燃料船に適用する方法について検討している。これまでに、ガスエンジンから排出されるCO2の60%回収目標を達成するための回収装置構成のうち、舶用のガスドライヤー等の調査を行ったり、実際に小型発電機用エンジンの排ガスからのCO2回収実験を行って、ドライアイスとして回収できることを確認したが、当初の圧力スイングを利用した凝華プロセスによる試験は実施できなかった。
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