研究実績の概要 |
本研究は、生産システムの状況と関連情報をオンラインに収集しながら大規模生産スケジューリングを瞬時に完成することを目指す。このため、生産スケジューリング問題をワークステーションごとに行う小規模ジョブの並び替え問題に変え、変えた後の問題をリアルタイムに解決する方法を提案した。 本年度は、昨年度に続けて北九州市における工場の実際の問題を対象とした提案方法の設計に基づき、提案方法の汎用モデルの完成と検証を行った。昨年度では、工場のデータを用いてシミュレーションを行い、提案方法の有効性を確認したが、その工場以外の類似問題に提案方法が対応できるかどうかは検証しなかった。本年度では、当該工場以外のスケジューリング問題にも対応できるようにするための汎用モデルを立て、任意に生成された様々なデータを用いて幅広く検証を行った。その結果、よく使用されているAI最適化手法に比べ、提案方法のほうが精度は90%以上高くなり、計算時間は99%以上少なくなることが分かった。また、昨年度の研究対象であった工場のケースに対し、エネルギーコストの削減と作業員人数の削減・在庫コストの削減・後工程の開始タイミングの決定に有効であることが確認できた。 この成果は、理論にも実際の問題解決にも大きな貢献があると認められており、経営工学の世界トップジャーナルJournal of Manufacturing Systems(2022年現在IF=8.633,ranked 1 out of 84 in Operations Research and Management Science)で掲載された。今後、工場現場での実用化を目指して研究を進めていきたいと考えている。
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