研究課題/領域番号 |
19K15239
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
福本 江利子 広島大学, 人間社会科学研究科(文), 特任助教 (40835948)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 研究者 / 挑戦性 / 生産性 / 戦略 / インタビュー |
研究実績の概要 |
研究者の視点や経験からみる研究の生産性や挑戦性と彼らの戦略、そして研究の営為をとりまく環境や文化について検討するために、2021年度は、研究や研究者の挑戦性を主題として、計24名の研究者へのインタビュー調査を実施した。インタビューは、30分から1時間程度の半構造化インタビューで、オンラインのビデオ通話による実施である。このインタビューのデータをもとに、2021年10月の研究・イノベーション学会での発表「挑戦性志向の研究プロジェクトの中長期的帰結:インタビュー調査からの考察」を行い、議論した。また、2022年3月に開催されたSciREXオープンフォーラム2022第4回「研究力強化への処方箋を実行性あるものとするために」においても、「「研究力」の設計と現場:研究者インタビューを中心に」と題して本課題で実施中の調査の知見をもとに話題提供とディスカッションに参加し、当該分野の課題解決に向けた議論に寄与した。なお、本課題に関連する日本の研究システムと国立大学法人化についての共著論文「国立大学法人化とは何だったのか : 科学研究の観点からの評価」が、2021年9月に『一橋ビジネスレビュー』に掲載された。加えて、レッドテープを主題として国立大学を題材とする考察も含む単著論文「「病理としてのレッドテープ理論」:日本行政学への視座」が『年報行政研究』に掲載許諾されている。研究者をとりまく環境の変化のうち、ジャーナルに特化した考察として「ジャーナルの生態:書誌計量データによる考察」のタイトルで2021年12月の科学技術社会論学会における発表も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度に、計24件のインタビュー調査を実施した。科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業「さきがけ」に研究代表者として参画したことのある研究者を対象としたインタビュー調査である。これまで、計23名の研究者へのインタビュー調査に加えて、領域の研究総括1名に対してもインタビュー調査を実施した。現在は、インタビューの音声データを文字起こししたテキストを確認する段階にある。また、インタビュー調査と並行して、研究者の生産性や挑戦性、研究者の研究(者)観や行動、そしてそれらの背景にある研究や大学に関連するシステムについての考察を深めている。これについては、『一橋ビジネスレビュー』に共著論文が掲載され、『年報行政研究』で単著論文が掲載許諾されている。このように、インタビュー調査と得られたデータの整理・分析を進めつつ、研究活動や研究者をとりまく環境についての考察や論文執筆を進めている状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度には、収集したインタビュー・データをもとに分析と論文執筆を行う。場合によっては追加のインタビュー調査を実施するが、基本的には収集済みのデータをもとに論文執筆を進める予定である。具体的には、インタビューを文字起こししたテキストの確認および匿名化の作業、そしてこのデータの分析と論文の執筆を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの状況を考慮して、オンラインでのインタビュー調査実施となり、パソコンやzoomアカウントの購入等の環境整備や書籍購入に予算を使用した。また、当初の予定から遅れがあったため、論文原稿の英文校閲などの費用は発生しなかった。これらの事情に加えて、課題の進捗状況を考慮して研究期間を1年延長したため、次年度使用が発生した。最終年度においては、論文執筆にあたっての追加の書籍購入や論文原稿の英文校閲等に予算を使用する予定である。データ分析のアプローチや進捗に応じ、プリンタ等の購入や、補助アシスタントへの謝礼として使用することも検討している。なお、研究代表者の所属機関移籍に対応して、データ分析や必要に応じた追加調査を実施するための環境整備にも予算を使用する可能性がある。
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