本研究では運転中のオンライン会議という、社会的に新規な行為において、ドライバーの視覚的注意が阻害されることを示した。この知見は、携帯電話の通話に関する従来の知見の概念的追試という学術的意義に加えて、安全教育の観点で社会的意義がある。 さらに、交通環境から危険事象を検出するために必要な時間を調べた実験では、先行研究の概念的追試に成功したとともに、新たに信号検出理論を適用した分析により加齢に伴う危険検出成績の低下原因を考察できた。この知見は、レベル3自動運転における運転交替の要請など、瞬間的に交通環境の危険性を判断すべき状況において、アラートを出すタイミングの工学的設計などに応用できる可能性がある。
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