①準自動運転における監視作業中のドライバのビジランスおよび覚醒水準の変化を調べた.ドライビングシミュレータを用いて手動・自動運転の条件で長時間運転(2時間)を行わせ,その際のビジランスを推定するためのパフォーマンス(追い越し車両のテールランプ点灯への反応)および30秒ごとに口頭で回答させたカロリンスカ眠気尺度の評点の変化を測定した.この結果,手動・自動いずれの条件においても運転作業中の覚醒水準とビジランスには強い相関関係がみられた.また,手動運転よりも自動運転条件の方が覚醒水準が高まりやすく,ビジランスも低下しやすい可能性が示唆された. ②自動運転中のヴィジランス低下を防ぐための方策として,(1)定期的な聴覚・触覚刺激の提示,(2)ガム噛み,の有効性を前年度に引き続き調査した.前年度よりも長時間の運転および被験者数を増やして実験を行ったところ,これまでと同様に(1),(2)の方策によるビジランス低下抑制効果がある程度確認された. ③運転中のドライバの覚醒状態を検知する方法を検討するための基礎的実験として,ドライバの生理指標と主観的な覚醒状態の時系列変化との対応関係を調査した.ドライバの主観的な覚醒状態はカロリンスカ眠気尺度によって30秒ごとに測定した.また,ドライバの生理指標として,脳波,瞳孔径,心拍変動性指標,PERCLOS,瞬目等を測定した.この中でも特に,瞳孔径のスペクトル解析指標がドライバの主観的な眠気の度合との関連が強いことが示唆された.
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