研究課題/領域番号 |
19K15255
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
丸山 翼 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究員 (50817161)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 転倒リスク / 3次元レーザ計測点群 / 形状処理 / デジタルヒューマン / 歩行シミュレーション / アクセシビリティ評価 |
研究実績の概要 |
本研究では,装着式センサを用いて歩行者の身体運動を推定し,歩行環境の3次元形状データ等と組み合わせることで環境のアクセシビリティを様々なコンテキスト下で評価できる技術の開発を目的とした. 1年目は,ディープラーニングと少数IMU(慣性計測ユニット,6-7個)を組み合わせたリアルタイム全身運動推定技術を開発し,デジタルヒューマンソフトウェアプラットフォームであるDhaibaWorksに実装した. 2年目はこの動作計測技術を用いて,実際に屋外歩行計測実験を行う計画であった.しかし,感染症等の影響により被験者実験を実施することができなかった.代わりに,広島大学の研究者とともに,日本大学の3D点群データとKinematic歩行シミュレーションを組み合わせ,安全なルート提案技術の開発に応用した. 本年度も被験者実験の実施が困難な状況であったため,当初計画から変更して研究を実施した.具体的には,前述の安全なルート提案技術の論文化,お台場の3D点群データのas-isモデリング,お台場点群データ上でのKinematic歩行シミュレーションに関する研究を実施した.台場の3D点群データのas-isモデリングについては,お台場の3区画分の遊歩道の3D点群データを地上設置型レーザスキャナで計測し,その形状解析を行うことで歩行路や経路構造,段差の抽出を行った.さらにこの上でKinematic歩行シミュレーションを行えるようにした.今後は,様々な身体性を反映できるように歩行シミュレーションの改良を進める予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度および本年度は,屋外環境での歩行計測実験を予定していた.この実験では,実験実施者が被験者に接近し,センサ装着等を行う必要があり,感染症等の影響により実施が困難であった. そこで本年度は,当初計画から変更し研究を実施した.具体的には,昨年度開発した安全なルート提案技術の論文化,お台場の3D点群データ計測とそのas-isモデリング,お台場の3D点群データ上での歩行シミュレーションに関する研究を実施した. 当初計画との変更はあるが,適宜研究計画を変更しつつ実施できているため,おおむね順調に進展しているとした.
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今後の研究の推進方策 |
今年度も引き続き実験が困難な状況が予想される.そのため,点群データ上での歩行シミュレーション技術とデジタルヒューマンを用いた精緻な歩行シミュレーションを組み合わせることで,お台場3D点群環境のアクセシビリティ評価を進める予定である.当初予定していた様々な環境コンテクストの再現は限定されてしまうが,様々な歩容再現を行うことで,身体能力差のある個人に対するアクセシビリティ評価を実現する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた主要な支出は,国際会議等の旅費,お台場のレーザ計測,お台場での被験者実験にかかわる支出である.感染症等の影響により,国際会議等の旅費とお台場での被験者にかかわる費用が発生しなかったため,次年度使用額が生じた. 今年度はシミュレーション研究を中心に進める予定であり,その計算機購入や協力研究者の人件費に充てる予定である.
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