研究実績の概要 |
岸壁の耐震として安価な液状化対策工法を提案するため、加振機を搭載した土槽による模型実験を実施した。実験では、弱・中・強それぞれの強さ(最大加速度0.5 m/s^2, 1m/s^2, 2m/s^2、いずれも周波数3Hz)の加振波を用いた。これにより、飽和砂は液状化して、それにより壁には変形が生じた。ここでは変形を、壁天端の変位と曲げひずみの二点に着目して、これらの大小について計測した。変形が小さいほうが、対策効果が高いといえる。 実験では、「無対策」「従来工法である、離散的に杭を打設する工法」「杭の一部をゴム筒に代用した工法(提案工法とする)」に対して実験を実施した。いずれのケースでも、加振加速度が大きくなるほど、岸壁の変形も大きくなった。「無対策」に対して「従来工法」では47~73%の変位抑制効果が得られた。一方で、「杭の一部をゴム筒に代用した工法(提案工法)」では40~63%の変位抑制効果が得られた。変位だけでなく、岸壁のひずみの計測結果からも、無対策>提案工法>従来工法という結果が得られており、壁部材の損壊防止という観点でも、提案工法は一定の効果が得られることが判明した。 提案工法は従来工法よりも、すべてが杭ではなく、ゴム筒に置き換えているため、材料費の削減が期待できる。一方で、耐震効果としては従来工法に対して劣る。耐震効果と経済的視点のバランスが重要であり、これを考える上での実測データを獲得できた。 また杭間の砂の動きを追跡するための基礎データ獲得を目的とした模型実験も実施した。ここでは対象を堤防としているが、構造物間の砂の挙動という観点からは共通しており、有用な基礎データを得ることができた。
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