• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2019 年度 実施状況報告書

エージェントアプローチによる災害時観光客への情報提供手法の構築に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K15267
研究機関立命館大学

研究代表者

酒井 宏平  立命館大学, OIC総合研究機構, 研究員 (20826945)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード訪日外国人観光客 / エージェントシミュレーション / 一斉帰宅 / 避難行動
研究実績の概要

昨年度は、(a) 観光客へのサンプリング調査研究、観光客による一斉帰宅緩和のための震災時帰宅行動研究(b) 観光客避難シミュレーション研究、(c) エージェントシミュレーションによって避難計画の評価を行うゲーミングシミュレーション研究を実施した。
(a1) 京都市の外国人観光客150名から災害に対するリスク認識や避難に関する知識、情報へのアクセスについて尋ねたアンケート調査を実施した。その結果、外国人観光客は高いリスク認識を持つものの、その防災知識には未知や誤認が含まれる。防災情報取得のための行動意図は低く。外国人観光客を守るためには共助や公助に頼らざるを得ない現状が明らかとなった。
(a2) 姫路城内観光終了後の観光客を対象にアンケート調査を行い、公的支援の内容ごとに属性、観光形態を説明変数として観光客の帰宅意図に影響する要因抽出を試みた。決定木分析より、「情報提供」、「滞在する施設の提供」、「水と食料の提供」などの公助の支援が、観光客の行動意図に影響を与え、一斉帰宅を緩和できることが明らかとなった。
(b) 歴史都市や文化遺産を抱える観光地が円滑に復興を遂げるには、まず観光客に対する円滑な災害時支援が不可欠であるという立場から、観光客の一斉帰宅を抑制するためにどのような避難誘導が必要なのか、その検討を可能にする避難シミュレーションの提案を行なった。
(c) 市民が考えた避難計画を研究者が開発したエージェントシミュレーションという手法を用いて評価する参加型避難計画策定ゲーミングによって、市民によるコミュニティ防災活動の実現に必須である正統的周辺参加の実現可能性を検証した。本ゲーミングがコミュニティ防災の要件を満たすことを明らかとした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

1年目は、観光客に対して行った調査(a)、その結果を用いたエージェントシミュレーション(b)、そして机上訓練ツールとしてのゲーミングシミュレーションの試作(c)の(a)、(b)、(c)の各系列をまたぐ基礎的研究を一通り実施することができた。
また、成果の発信に関しては、久留米大学で開催された日本地域学会第56回年次大会、イタリアのラクイラ大学で開催された3rd Silk Cities 2019にて発表した。

今後の研究の推進方策

(a) 調査研究に基づくエージェントモデリング研究、(b) エージェントシミュレーションを用いた政策研究においては、これまでの研究作業をそれぞれ前進させ、被災前から被災後までの時間軸を対象に震災時観光客の行動の再現を試みる。さらに、(c) それらシミュレーションを用いた机上訓練ツールの構築までを行う予定である。また、成果発信としては、17th PRSCO Summer Instituteなどの国際会議を予定している。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウィルス感染拡大による活動自粛により、出張や購入を取りやめたため。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] A Study on Gaming of Participatory Evacuation Planning in Tourist Area using Agent Simulation2019

    • 著者名/発表者名
      Sakai Kohei, Shimizu Hiroari, Toyoda Yusuke and Kanegae Hidehiko
    • 雑誌名

      Hamada Ryoju, Soranastaporn Songsri, Kanegae Hidehiko, Dumrongrojwatthana Pongchai, Chaisanit Settchai, Rizzi Paola and Demblekar Vinod (Eds.) “Neo-Simulation and Gaming Toward Active Learning”

      巻: - ページ: 276-286

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] 訪日外国人観光客の防災意識に関する研究:京都市を事例に2019

    • 著者名/発表者名
      酒井宏平, 鐘ヶ江秀彦
    • 学会等名
      日本地域学会 第56回(2019年)年次大会 (久留米大学)
  • [学会発表] 36.A Study on Evacuation Method Using Agent Simulation Based on Tourists' Behavioral intention2019

    • 著者名/発表者名
      Sakai K., Kanegae H.
    • 学会等名
      3rd Silk Cities 2019 (University of L'Aquila)
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi