研究課題/領域番号 |
19K15270
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研究機関 | 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 |
研究代表者 |
工代 健太 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 港湾空港技術研究所, 研究官 (30826003)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 液状化 / 地盤沈下 / 細粒分 / 不規則波 / 津波氾濫解析 |
研究実績の概要 |
本研究は地盤の状況や地震動の波形から得られる情報などから平面的な液状化による地盤沈下量を簡易的に推定する手法を構築し,数値解析による津波氾濫予測の精度を向上させることを目標に実施しているものである.津波災害を受ける臨海地域の地盤には細粒分を含む地盤が多くみられる.しかし,細粒分混じり混合砂質土の液状化特性や地盤沈下量については十分な検討がなされていない.そこで今年度は地盤に含まれる細粒分の量や性質が液状化による地盤の液状化特性や体積ひずみに及ぼす影響について実験的に検討した.塑性指数が異なる数種類の細粒分混じり混合砂質土について,中空ねじり試験及び実物大標準貫入試験を実施した.ボーリング調査で得られるN値から細粒分混じり混合砂質土の体積ひずみを予測する方針のもと,上記の実験結果よりN値と液状化強度の関係性及び液状化強度と体積ひずみの関係性の2点について細粒分の塑性や母材砂の粒度特性が及ぼす影響について検討した.前者について,細粒分の塑性に応じて,液状化強度とN値の双方が変化することや既往の液状化予測判定手法でN値から算出した補正N値と液状化強度の相関関係に細粒分の塑性や母材砂の均等係数が影響することを明らかにし,研究内容を土木学会論文集にまとめた.細粒分と母材砂の均等係数が補正N値と液状化強度の相関に及ぼす影響の補正方法について現在検討を行っている.また,後者の液状化強度と体積ひずみの関係性についても現在検討を継続しており,今後さらに母材砂の均等係数や細粒分の種類について条件を増やして,相関式を構築する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細粒分混じり混合砂質土について,液状化特性に細粒分や母材砂の物性が及ぼす影響の検討,液状化による地盤沈下量予測のためのパラメータの選定及びそれらの相関関係の検討が予定どおり進展しているため.
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今後の研究の推進方策 |
要素試験(中空ねじりせん断試験)を継続し,細粒分混じり混合砂質土の体積ひずみに細粒分の塑性と地震外力特性が及ぼす影響について検討する.そして,地盤特性と地震動特性の双方から地盤沈下量を予測する式を構築する.その後,液状化予測判定手法と地盤沈下量予測式を組み合わせ,地震動波形と地点ごとに得られたボーリングデータから液状化による地盤沈下量を平面的に予測する手法を検討する.最終的に臨海部の津波解析に適応し,地震動特性や地盤特性に応じて液状化と津波の複合災害を再現・予測可能な津波解析手法に発展させる.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗に合わせ、数値解析用のPCや可視化ソフトの購入を次年度以降に回したことが物品費の繰り越しの理由である.また、科研費による出張が当初の予定よりも少なく、次年度以降に回したことが旅費の繰り越しの理由である.次年度は物品費では実験材料や解析に用いるツールの購入を行う予定である.旅費は研究テーマに関する情報収集や研究成果発表の出張に用いる予定である.
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