燃料電池や全固体電池などの次世代エネルギー変換デバイスの実用化のためには、イオンを高速に伝導する固体材料(固体電解質)の開発が急務である。多くの固体電解質ではセラミックス系の物質に不純物をドーピングすることでイオンキャリアを導入するが、ある程度以上不純物濃度を増やしていくと伝導度が低下してしまうものがほとんどである。本研究では、量子力学および熱力学の原理に基づく大規模シミュレーション研究によってこの問題に取り組んだ。材料中に不純物がどのように分布し、その結果としてイオン伝導性がどのように決定づけられるかを、中温動作型燃料電池の電解質材料として有望視されているジルコン酸バリウムを題材に解析した。
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