本研究では、モルフォトロピック相境界探索という従来手法を用いずに膜形態材料の圧電特性を向上する手法として、ドメインスイッチングを利用したコンセプトを提案した。高電圧印加によってドメイン構造を微細化することによって、鉛系の圧電材料であるチタン酸ジルコン酸鉛の圧電特性が、電圧印加前よりも約4倍程度まで向上することを見出した。このメカニズムはより安定なドメイン構造を電圧印加によって実現することにより発現することをシミュレーションによって解明した。さらにこのメカニズムを非鉛圧電体材料であるチタン酸ビスマスナトリウムーチタン酸バリウム固溶体に適用し、非鉛圧電体膜として高い圧電性を得ることに成功した。
|