研究課題
若手研究
高い圧電性を有するSc添加AlNでは、ウルツ鉱相の熱力学的安定性が重要な材料設計指針になる。本研究では第一原理計算とCALPHAD法を組み合わせ、Al-Sc-N 3元系の相平衡を計算する熱力学データベースを構築した。また実用材料は薄膜で作製され、バルクとは相平衡が異なる。そこで基板-薄膜間の歪エネルギーを考慮し、ウルツ鉱相におけるScの固溶挙動も評価した。 その結果、基板と薄膜の間に生じる歪エネルギーがウルツ鉱相の二相分離を抑制することを見出した。
無機材料
Al-Sc-N 3元系の相平衡は不明な点が多く、これまでに熱力学データベースは構築されていなかった。そこで本研究では、第一原理計算やデバイグリュナイゼン近似をCALPHAD法に援用することで相平衡を計算することが可能となった。構築した熱力学データベースにより計算した状態図は実験報告をよく再現しており、信頼性が高いものと考えられる。また、基板と薄膜の間に生じる歪エネルギーにより、ウルツ鉱相の二相分離が抑制される新しい知見も得ることができた。