研究課題/領域番号 |
19K15314
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
兵頭 潤次 九州大学, 稲盛フロンティア研究センター, 特任助教 (70736149)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 光触媒 / 欠陥化学 / バンドエンジニアリング / 界面 |
研究実績の概要 |
本研究は、高性能光触媒開発の現状を打開できる触媒設計指針の提案し、光触媒-水界面におけるバンド構造の最適化に関する開発戦略を確立することを目的としている。欠陥濃度制御によりp型、n型半導体どちらにもなることができる鉄置換チタン酸ストロンチウムをモデル材料とし、格子酸素欠陥(フェルミ準位)および接合する金属種(仕事関数)を制御することで、光照射により生成した電子と正孔を効率的に反応溶液へ輸送できるバンドエンジニアリング手法を開発する。 初年度は、(1)欠陥濃度を制御した光触媒の合成および(2)欠陥濃度制御による界面バンド構造制御と犠牲材存在下における光触媒特性の評価に注力し、研究を推進した。(1)において、熱処理温度、保持時間、冷却速度および雰囲気を制御することにより、金属組成を変化させることなくp/n型の鉄置換チタン酸ストロンチウムを合成することができた。合成したp/n型のチタン酸ストロンチウム粉末は、犠牲材存在下の光酸素生成反応速度に顕著な差が観測された。観測された触媒活性の違いは、反応溶液-光触媒界面のバンド構造の違いにより説明できることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、p型およびn型のチタン酸ストロンチウムを用いた光酸素生成において、触媒活性を界面バンド構造と関連させて明らかにすることができた。以上の理由により、上記の評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、当初の計画通り、半導体-金属接合を含んだ光触媒を用いた光水分解反応における界面バンド構造制御に注力する。これを行うため、欠陥濃度を制御したp型およびn型チタン酸ストロンチウム半導体表面に、接合状態を制御して金属ナノ粒子を担持できる合成手法を開発する。また、合成した触媒を用いた光水分解反応評価を行うことで、水分解に最適な界面バンド構造を明らかにする。
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