研究課題
若手研究
Ptを担持したp型およびn型Fe置換SrTiO3を用い、「n型-金属-p型」接合を有する光触媒を合成し完全水分解反応活性を評価した。当初予想していた「n型-金属-p型」接合形成による光触媒活性の向上は観測されなかった。これは、触媒合成時の表面原子再配列が理想的な界面形成を阻害し、当初期待した金属助触媒を励起電子および正孔再結合サイトとし、効率的に反応サイトへ励起子を輸送できる界面バンド構造を形成できなかったことに原因があると考えられる。
固体イオニクス
本研究成果は、半導体材料と金属の界面形成時の表面原子再配列や界面原子の相互拡散を精密に制御する触媒合成プロセス最適化の必要性を強く示すものである。表面および界面原子再配列には材料組成、酸素欠陥濃度、ガス雰囲気、温度が関与していることが本研究で示唆され、これらの自由度の組み合わせの中から、光触媒の機能を最大限引き出すプロセスを開発する必要がある。本研究にて見出された課題を克服することで、太陽光エネルギーを活用した高効率水素生成が可能となり、持続可能な開発の実現できるものと考えられる。