研究課題/領域番号 |
19K15316
|
研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
北野 萌一 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 構造材料研究拠点, 主任研究員 (40736972)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 金属3D造形技術 / 溶融金属積層法(WAAM法) / 複層鋼板 / アーク溶接 |
研究実績の概要 |
本研究は、ワイヤ溶融・積層方式の金属3D造形技術(溶融金属積層法)を応用することで、ミリスケールで高強度層(硬質層)と高延性層(軟質層)を複合化した、 高強度・高延性 を兼備する複合鉄鋼材の概念を提唱し、その機械的特性の明確化を目的とした検討を行うものである。本年度の成果を以下に示す。 1.高強度材料としてマルテンサイト系ステンレス鋼を、高延性材料としてオーステナイト系ステンレス鋼を用いた場合の各層ごとの組織状態を光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡により評価し、元素分布をEPMAにより評価し、微小領域の硬さ状態をビッカース硬さ試験およびナノインデンテーションにより評価した。 2.組織状態評価の結果、高強度材料層と高延性材料層では明確な相違があり、層ごとに異なる特性が付与されていることが推測された。 3. EPMAによるCr濃度およびNi濃度分布評価結果より、各層の造形時に前層を溶融することによる希釈が生じるものの、層ごとの両元素濃度は明確に異なることがわかった。 4.硬さ分布評価を行った結果、各層内においても若干の強度分布はあるものの、高強度材料層の硬さは高延性材料層の硬さのおよそ2倍であることがわかった。本結果からも、本研究における造形手法により、層ごとに異なる機械的特性付与した造形物を製作可能であることが示された。 以上の評価により、高強度材料と高延性材料からなる複合鉄鋼材における各層の特性を詳細評価することができた。次年度は以上の結果をもとに、有限要素法による複合鉄鋼材の弾塑性挙動解析手法の確立を目指した検討を行う。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、複合鉄鋼材の強度・延性設計法の確立に向けた有限要素法による複合鉄鋼材の弾塑性挙動解析のための、基本データを取得することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
複合鉄鋼材の強度・延性設計法、すなわち複合鉄鋼材全体としての特性を各層の特性から予測する手法の確立を目指す。各層の特性と複合鉄鋼材全体としての特性の関係は有限要素解析により予測を行う。
|