溶液からの結晶製造を対象にオゾン処理を施しながら結晶製造実験を行ない、オゾン処理で創製される反応生成物が結晶品質に与える効果、結晶品質制御への応用可能性を検討することであった。この目的に照らして、オゾン処理の条件、溶液の条件によって反応生成物の種類、量が変化すれば、結晶品質も影響を受ける可能性があることに着目して、オゾン処理の条件を複数設定して結晶製造実験を行ない、得られる結晶粒子群の品質との関係の基礎データを取得し、整理した。有機化合物の溶液の冷却晶析を対象にして、実験方法を構築して、溶液の冷却前、冷却途中のオゾンの添加などの添加プロファイル、またそれぞれのプロファイルでのオゾン添加量(濃度一定で添加時間を変更)で析出する結晶の粒径や形状等を整理した。結果として、溶液のオゾン処理を行なうと特定の結晶多形の析出が抑制されること、冷却前や冷却途中など、溶液のオゾン処理のタイミング、添加量によって得られる結晶粒子の平均粒径や形状が変化することが示唆された。しかし、検討を進めていく中で、実験・解析方法の見直しが必要になり、次年度ではデータを再取得して検討し直した。 結果として、オゾン添加のプロファイルと添加量析出する結晶の粒径や形状の変化、母液のpHやUV吸収スペクトルとの関係が、それぞれ傾向をもって変化することが示された。限定的ではあるが、オゾン添加のタイミングや添加時間などのオゾン処理の条件を検討することによって、晶析操作へのオゾン処理の応用で結晶粒子群の多形や粒径、粒子形状などの特性をある程度制御できることが実験的に示された。以上より、限定的ではあるが結晶粒子群製造にオゾン処理を応用した結晶品質制御手法の可能性が示された。
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