研究課題
若手研究
マイクロリアクターを使用して実現可能な特殊な流動状態であるスラグ流の反応/抽出同時操作への応用を試みた。2相スラグ流により、グルコースをバイオプラスチックの原料として期待されるHMFへと転換し、85%の高収率を達成した。さらに、2相ではなく3相以上のスラグを規則的に流す“複合スラグ流”を実現した。これをフルクトースからHMF、さらにHMFからグリコール酸への一貫多段反応/抽出へと適用し、2相系では達成しなかったフルクトース反応率(反応速度)を達成した。
化学工学
全ての反応は平衡に制限され、これを突破して反応を進めることは不可能である。スラグ流を利用した反応/抽出の同時操作により生成物を常に反応場から取り出すことで、反応平衡を常時目的生成物側へと偏らせることで、反応速度の向上を達成した。これを3相での反応、抽出、さらに異なる相への抽出/反応へと拡張することで、その中間の抽出操作において発生する平衡による制限も軽減することに成功した。本成果は未だ適用系が限定的であるなどの課題が残るものの、今後の化学品製造効率の飛躍に向けた大きな可能性を示すものである。