本研究では,有機半導体分子と同じ外骨格を有するドーパント分子の合成,および当該分子を活用した高伝導性有機半導体材料の創製を目指した.初のリチウム内包フラーレン誘導体となるリチウム内包PCBM(Li@PCBM)を合成・単離し,同骨格を有する空のPCBMに対するドーパントとして0~5 wt%添加した複合半導体薄膜を作製した.物性評価の結果,Li@PCBMのPCBMに対する電子供与的な振る舞い,すなわち,nドーピング効果が確認された.本材料を用いてペロブスカイト太陽電池を作製し,性能評価を実施したところ,未ドープPCBM薄膜を用いたデバイスと比較して最大で3%程度の光電変換効率の上昇が見られた.
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