極短パルスの高エネルギー光子を放出するX線レーザーを物質に集光すると,ナノメートル(10億分の1メートル)・フェムト秒(1000兆分の1秒)領域という極微小な空間・時間に高温な電子が高密度に存在する非平衡状態が生じる.この特異な状態は,従来の露光技術と異なり,現像・エッチング等の複雑な工程を大幅に簡略化できる直接ナノ造形法を可能とする.本研究では,日本の自由電子レーザー施設(SACLA)のフェムト秒パルス軟X線を用いて固体材料の加工試験を行った.さらに,分子動力学計算を用いて造形に関わる物理機構を明らかにし,熱の影響が非常に少ない非熱加工と呼ばれる綺麗な除去加工を実現できる可能性を示した.
|