• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実施状況報告書

ナノ空間におけるaL-fL/sec流量計測法の創成

研究課題

研究課題/領域番号 19K15417
研究機関東京大学

研究代表者

森川 響二朗  東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任助教 (20796437)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードナノ流体工学 / 流動電流 / 流動電位 / ナノ電極
研究実績の概要

研究代表者のグループでは10-100 nm空間での研究ツールを開発し、様々な革新的性能を実現してきた。しかしながら、ナノ空間では流体デバイス工学において最も重要な流量(aL-fL/sec)を計測する方法がないため、革新的ナノ流体デバイスの創成に至っていない。そこで、本研究では、溶液の圧力駆動による流れを電流/電位として検出する流動電流/流動電位法という研究代表者独自の方法でナノ空間のaL-fL/sec流量を計測することを目的としている。
2021年度では2020年度に考案した流量計測法の原理検証に取り組んだ。2020年度に考案した流量計測法では、流量を計測する目的の流路を取り囲む形で複数の流路を配置し、ホイートストンブリッジ回路をデバイス内に構築する必要がある。そのために様々な流路サイズを設計通りに作製する加工技術が必要であった。そこで、ナノ流路加工におけるレジスト厚みや露光時間、エッチング時間を最適化することにより、最小で50 nmの流路から数1000 nmの流路を自在に制御して加工することが可能となった(Morikawa et al, Micromachines, 917, 2021, 化学とマイクロ・ナノシステム学会 第44回研究会, ビジュアルムービー賞など)。さらに、ホイートストンブリッジ回路を構築する流路の一部分だけの流動電流信号を取得するため、流路の一部分だけを疎水・親水に修飾する方法を開発した。これにより、目的流路以外の部分を疎水分子によって表面電荷のない状態にし、目的流路のだけを親水性で表面電荷を有するガラス表面に戻すことに成功し、流動電流の信号の取得にも成功した(Morikawa et al, Micromachines, 1367, 2021)。以上によりホイートストンブリッジ回路を構築した流量計測システムを構築することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

流動電流値と流量値の校正にまでは至らなかったが、ホイートストンブリッジ回路を構築した流量計測システムの構築に必要であった流路の加工や表面修飾において大きく進展し、流量システムを構築することができた。よっておおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

来年度の最終年度において、構築した流量計測システムを用いた流量計測を実証する。一方で、ナノ空間のユニークな物性についても流動電流実験とシミュレーションの双方を利用して議論を深め、流量値の校正に必要な流動電流値と流量値の関係についても明らかにしていく。

次年度使用額が生じた理由

概ね計画通りの予算計画で研究を遂行している。残高については翌年度の物品費(消耗品)として使用する。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Surface Patterning of Closed Nanochannel Using VUV Light and Surface Evaluation by Streaming Current2021

    • 著者名/発表者名
      Kyojiro Morikawa, Haruki Kazumi, Yoshiyuki Tsuyama, Ryoichi Ohta and Takehiko Kitamori
    • 雑誌名

      Micromachines

      巻: 12 ページ: 1367(11pp)

    • DOI

      10.3390/mi12111367

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Metal-Free Fabrication of Fused Silica Extended Nanofluidic Channel to Remove Artifacts in Chemical Analysis2021

    • 著者名/発表者名
      Kyojiro Morikawa, Ryoichi Ohta, Kazuma Mawatari, Takehiko Kitamori
    • 雑誌名

      Micromachines

      巻: 12 ページ: 917(10pp)

    • DOI

      10.3390/mi12080917

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] MICRO- AND NANOFLUIDIC CONTROL WITH PARTIAL INTEGRATION OF PDMS VALVE INTO GLASS NANOFLUIDIC DEVICE2021

    • 著者名/発表者名
      Kyojiro Morikawa, Shu Matsuura, Hiroki Sano, Yutaka Kazoe and Takehiko Kitamori
    • 雑誌名

      Proceeding of MicroTAS

      巻: 1 ページ: 1405-1406

    • 査読あり
  • [学会発表] 森川響二朗2022

    • 著者名/発表者名
      ガラス製ナノ流路加工法の開発とナノ流体デバイスへの展開
    • 学会等名
      4大学ナノ・マイクロファブリケーションコンソーシアム・シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] MICRO- AND NANOFLUIDIC CONTROL WITH PARTIAL INTEGRATION OF PDMS VALVE INTO GLASS NANOFLUIDIC DEVICE2021

    • 著者名/発表者名
      Kyojiro Morikawa, Shu Matsuura, Hiroki Sano, Yutaka Kazoe, and Takehiko Kitamori
    • 学会等名
      MicroTAS2021
    • 国際学会
  • [学会発表] Crフリー加工法によるガラス製拡張ナノ流路・マイクロ流路の作製2021

    • 著者名/発表者名
      森川響二朗、太田諒一、馬渡和真、北森武彦
    • 学会等名
      化学とマイクロ・ナノシステム学会 第44回研究会
  • [学会発表] ガラス製ナノ流体デバイスへのPDMS部分集積と局所変形バルブへの応用2021

    • 著者名/発表者名
      森川響二朗、松浦柊、佐野大樹、嘉副裕、北森武彦
    • 学会等名
      化学とマイクロ・ナノシステム学会 第44回研究会
  • [備考] Research Map

    • URL

      https://researchmap.jp/KyojiroMorikawa

URL: 

公開日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi