研究課題
2021年度は、第一に連続押込み法を用いたナノマイクロファイバ膜の疑似正圧電特性評価法を新規に開発した(Sens. Actuator A Phys. 326, 112717(2021))。本手法により、特に微小圧力の印加領域における疑似正圧電特性を詳細に評価可能とした。第二に、異なる紡糸条件(紡糸時間および紡糸電圧)でポリスチレン電界紡糸ファイバ膜を作製し、上記の連続押込み法を用いて疑似正圧電特性を評価した。この結果、特に紡糸時間の変化に対して大きく疑似正圧電特性が変化することを初めて明らかにした。さらに、特定の紡糸時間で見かけの圧電d定数(dapp)がピーク値を示すことも明らかにした。この結果は、当該ファイバ膜をより多く堆積させてもdappが必ずしも向上するわけではないことを意味する。dappが異なる紡糸時間に対してピーク値を示す原因を調査したところ、当該ファイバ膜の実効的な表面電荷密度と弾性係数の紡糸時間に対する変化が支配的に影響していることを突き止めた(Poymers 14(9), 1840(2022))。第三に、低分子有機色素であるブロモクレゾールグリーン(BCG)を添加した電界紡糸ポリスチレンファイバ膜を作製し、疑似正圧電特性を評価した。この結果、BCGを添加したファイバ膜の方が高いdappを示した。この原因を以下のように考察した。(i)BCGの添加により試料溶液の導電性が向上した結果、ファイバ膜に荷電される電荷量が増加。(ii)BCGの深い準位での帯電電荷のトラップにより帯電電荷の漏洩が低減。(iii)BCGを添加したファイバの直径とファイバ膜の密度が、BCGの添加の無いものと比して減少した結果、弾性係数が減少。
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