研究課題
平成31年度では、熱誘起磁気異方性変化とスピントルク自励発振によって、ボロメータと同等のダイオード感度(4.40 x 10^6 V/W)が得られた。このダイオード感度はサブギガヘルツ周波数帯で世界最高のダイオード感度となった。また、この論文で用いた熱誘起磁気異方性変化の大きさは約2.7 μJ/Wmであることがわかった。これは、2019年に論文掲載された時の素子に比べて約3倍の効果の増大となった。令和2年度では、これに加えて検出限界の信号の小ささを評価した。その結果、検出限界は2.4 x 10^-12 W Hz^(-1/2)となり、これは2013年に報告されたスピントルクダイオードの検出限界(3.6 x 10^-12 W Hz^(-1/2))よりも小さい(検出感度が高い)結果となった。これらの結果と前年度で得られた研究成果をもとに論文発表を行った。論文は研究代表者を筆頭著者としてNature Communications誌に掲載された。この論文は日刊工業新聞や電波新聞などに掲載され、電子情報通信学会ニュース解説記事にも掲載予定である。また、熱誘起磁気異方性変化の大きさを増大させるために、サンプル構造(CoFeB|MgO barrier|FeB|MgO cap)のMgO capの膜厚や膜構造を変化させた。その結果、MgOの界面を増やすことで効果が増大することが分かった。この結果は研究代表者を共著者かつ責任著者としてJournal of Physics Condensed Matters誌に掲載された。
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Nature Communications
巻: 12 ページ: 804
10.1038/s41467-020-20631-0
Journal of Physics: Condensed Matter
巻: 32 ページ: 384001
10.1088/1361-648X/ab94f3