研究課題
本研究では窒素とホウ素の層状物質である立方晶窒化ホウ素(h-BN)に着目する。h-BNは 5.8 eVという非常に大きなバンドギャップを持つ半導体である。このエネルギーは215 nmの深紫外光に対応するため殺菌光源等への応用が考えられるが、発光デバイスの作製に必要なエネルギーバンド操作の方法が確立していない。そこで、本研究では単原子層h-BNを題材として、有機分子吸着やアルカリ金属インターカレーションによりエネルギーバンド操作を行っている。 昨年度はロジウム薄膜上の単原子層h-BNにセシウムを蒸着することで、2.7eVエネルギーバンドをシフトさせることに成功した。これはセシウムとロジウムの仕事関数差に相当するため、リチウムと同様、セシウムとロジウム基板の間に生じる電気双極子の作るポテンシャルがh-BNのバンドをシフトさせていると考えられる。本年度はアルカリ土塁金属であるカルシウムを用いた。カルシウムは容易に2価の陽イオンとなるため、電気双極子を作るだけでなく、h-BNにキャリアを注入する可能性があると考えた。しかし、実際に蒸着を行うとインターカレーションは起こらないことがわかった。従って、2価金属は容易にはインターカレートしないと考えられる。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
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