本研究では、高抵抗GaNに対して共振周波数と内部摩擦の温度依存性を計測し、測定結果を振動モードの観点から系統的に調べることにより、高抵抗GaNが示す特異な圧電分極緩和現象の発現機構の解明に取り組んだ。その結果、高抵抗GaNにおける圧電分極緩和現象では複数の内部摩擦ピークが発生し、それらの大きさとピーク温度は圧電分極分布に強く依存することを明らかにした.また、圧電分極緩和に起因する共振周波数の低下は各内部摩擦ピークに応じて段階的に発生することを明らかにした。これらの成果より、高抵抗GaNにおけるキャリアのホッピング伝導の異方性が特異な圧電分極緩和現象の主要因であることが示唆された。
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