研究課題/領域番号 |
19K15463
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
金 磊 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教 (10825748)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | フッ化物テーパーファイバー / ガスセンシング / 広帯域種光光源 |
研究実績の概要 |
まず、石英ガラス材料の中心波長が2um用の光ファイバーおよび中赤外用フッ化物光ファイバーのテーパー加工法を確立した。特に中赤外用光ファイバーである、ZBLANフッ化ジルコニウム(ZrF4)ファイバーとフッ化インジウム(InF3)ファイバーは、通常のファイバーと比較すると、転移点や融点が低いため加工条件が異なる。よって、フィラメント温度とファイバーの引張り速度を検討し、各種の条件とパラメータを最適化した。 ガス分光用中赤外光源を作製するために、1um帯域の広帯域高出力ファイバレーザの開発に成功した。作成したYb添加ファイバレーザは、中心波長 1040nm、 10dB 光スペクトル幅 100nm 以上、平均出力パワー150mW 以上、繰り返し周波数 200MHz、パルス時間幅 3ps の特性を有している。特に種光源における平均出力パワーは、他の研究結果と比較して高出力となっている。 最後に、光ファイバーシミュレーション用ソフトCOMSOLを利用し、中赤外光のテーパーファイバーにおける損失と伝搬特性を解明した。異なるテーパー長やテーパー径を持つファイバーの挿入損失とエバネッセント光の空間分布状況を比較し、計測用の最適なデザインを考案した。そして、加工されたテーパーファイバーを用いて、ガス検出の実験を行い、ガスセンシングの実現に向けて検討した。 今年度の開発の実績に基づき、これからの中赤外オールファイバーガス分光システムの構築が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
今年度の研究計画の目的は、中赤外用テーパーファイバーの製作と伝搬特性の解明である。研究内容は計画通り進み、種光源を試作し、作製したテーパーファイバーを利用し、ガス分光の実験をテストした。 さらに、従来のテーパーファイバーシステムも改善し、加工する際にヒーターの挿入方法およびウォーミングアップをマニュアルからオートへ変更した。これにより、実験用テーパーファイバーは作製がより簡便となった。
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今後の研究の推進方策 |
まず、高精度を持つ1umと2um帯域ファイバー光コムを作って、シードパルスを増幅すると 波長変換の実験を行い、2~3umの中赤外可変光源を実現する。その後は、テーパーファイバーを用いCRDS計測用の高Q値キャビティを構築し、測定用ガスを入れて、出力のリングダウン特性を測定する。
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