本研究は、放射性廃棄物の地層処分の安全評価において重要となる放射性核種を模擬した希土類元素が、深部地下環境でどのような移行挙動を示すのか、また、地下水中に溶存している天然の有機物であるフミン物質と結合することで生成されるフミンコロイド粒子が、安全評価上どのような影響を及ぼすのかを定量的に評価することを目的として実施した。その結果、地下水中の炭酸イオンと有機物が希土類元素の移行挙動を支配することを明らかにした。また、フミンコロイド粒子への結合量を安全評価解析に導入した結果、既往の解析結果よりも地表への到達時間が遅延される可能性が示唆され、有機物特性評価の必要性が示された。
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