研究課題/領域番号 |
19K15482
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
森下 祐樹 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 福島研究開発部門 福島研究開発拠点 廃炉国際共同研究センター, 研究職 (20631401)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | α線検出器 / αダストモニタリング / ラドン / ロボット |
研究実績の概要 |
R1年度は遠隔αダストモニタリング装置(RCAM)の開発と実証試験を行った。RCAMシステムは、パーソナルαダストモニターとロボットで構成した。パーソナルαダストモニター(poCAMon, SARAD、ドイツ)は、400mm2のイオン注入シリコン検出器と25mmφのメンブレンエアフィルターで構成された。パーソナルαダストモニターは、任意の測定時間間隔のアルファエネルギースペクトルを取得することが可能であった。実証測定は、瑞浪超深地層研究所(MIU)および換気の悪いコンクリートの建物で地下で行われた。RCAMシステムは遠隔操作され、相対湿度(RH)がほぼ100%であっても222Rn子孫を正確に測定した。測定されたアルファスペクトルでは、218Po(6.0MeVアルファ線)および214Po(7.7MeVアルファ線)のピークが明確に識別された。ラドン測定の標準機であるAlphaGUARDとの比較でも変動のトレンドは一致した。ラドン濃度とラドン子孫核種濃度の比から平衡ファクタを評価したところ、瑞浪超深地層研究所(MIU)は低く(F<0.4)、換気の悪いコンクリートの建物地下では高い値(F>0.8)を示しており、これは測定環境の喚起状態を反映していると考えられる。我々の開発したモニターは、高ガンマ線環境または作業者が物理的に立ち入ることができない汚染場でのアルファダストモニタリングに有用である。本成果は論文として公開された。Y. Morishita et al. "A REMOTE CONTINUOUS AIR MONITORING SYSTEM FOR MEASURING AIRBORNE ALPHA CONTAMINATION." Radiation Protection Dosimetry (2020).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
R1年度は、当初計画どおりに遠隔αダストモニタリング装置(RCAM)の試作機の開発及び実証試験を行い、その結果をまとめた成果を論文として公開することができたため、おおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、検出器部分の開発・改良を行う。α線やβγ線の弁別可能な検出器開発を行い、それを開発した遠隔αダストモニタリング装置に搭載し、ラドンを用いた測定試験等を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
R1年度に購入したデスクトップデジタイザについて、当初予定額より安価で購入することができたため、差額が次年度使用額として生じた。次年度使用額については、R2年度分経費と合わせて、検出器開発のための材料購入費用等に使用する。
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