R2年度は検出器とダストモニタの開発を行った。まず検出器については交付申請書に記載した「研究実施計画」のとおり、スチルベン結晶(1層目)とGAGGシンチレータ(2層目)を積層した検出器を開発した。α線とβ線は飛程が短いため、1層目のスチルベン結晶でエネルギーが吸収される。スチルベンは実効原子番号が低いため、γ線は相互作用の確率が低く、2層目のGAGGシンチレータで吸収される。このことは、モンテカルロ計算を行いα線、β線、γ線のエネルギー付与分布を取ることで確認できた。検出器の光検出器からの出力電圧信号をデジタイザーに入力し、出力波形を取得した。α線、β線、γ線をそれぞれ測定し、出力波形情報の違いから、それぞれの線種を明瞭に弁別することができた。α線、β線、γ線のエネルギースペクトルも同時に測定することができた。α線エネルギースペクトルでは、241Amの5.5MeVのピークが確認され、γ線エネルギースペクトルでは、137Csの662keVのフォトピークが確認された。また、ラドン子孫核種捕集ろ紙の測定を行い、ラドン子孫核種のα線、β線、γ線を同時測定・弁別できることを確認した。さらに、小型のダストサンプラと開発した検出器を組み合わせて、ラドン濃度の高い環境で連続測定試験を行った。その結果、ラドン子孫核種のα線、β線、γ線をリアルタイムに測定・弁別できることを確認した。この検出器は小型であることから、ロボットによる運搬・遠隔測定が可能である。
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