研究実績の概要 |
前年度までの成果を反映させた重陽子核反応データベースJENDL/DEU-2020の開発に関する論文を執筆し、投稿した。また、論文のオンライン公開に合わせて、自身が所属する原子力機構核データ研究グループのホームページからデータベースを公開するとともに、原子力機構のホームページからプレスリリースを実施した。 開発したJENDL/DEU-2020のデータを放射線輸送計算コードPHITSで読み込んで、本研究で対象とする重陽子入射エネルギー1~2MeVの範囲における厚いベリリウム標的に対するシミュレーションを行った。実験値が存在する1.0, 1.45, 2.0MeVの各入射エネルギーにおいてシミュレーションを行ったところ、JENDL/DEU-2020を用いたシミュレーション結果は中性子放出に関する実験値をおおむね再現することが分かった。このことから、次年度以降このシミュレーションを用いて小型中性子源の性能評価を実施できる目途が立った。 一方で、JENDL/DEU-2020の評価値から、放射性物質であるトリチウムを発生させるBe-9(d,t)反応の断面積が入射エネルギー1~2MeVの範囲でBe-9(d,n)反応断面積の半分程度の大きさを持っていることが判明した。JENDL/DEU-2020のBe-9(d,t)反応断面積の評価値は入射エネルギー1.7, 2.5MeVで実験値と整合しており、上記の結果は相応の信頼性があると考えられる。
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