研究実績の概要 |
重陽子加速器を用いた小型中性子源における遮へい設計シミュレーションの高度化に向け、加速器の構造材となる核種(Al-27, Cu-63,65, Nb-93)に対する重陽子核反応データの評価を行った。評価に当たっては、遮へい設計に大きな影響のある中性子やガンマ線放出データの精度に特に注意を払った。 評価した核反応データの検証として、放射線輸送計算コードPHITSを用いて、重陽子の飛程よりも厚い標的からの中性子やガンマ線収量に関する巨視的シミュレーションを行った。その結果、本評価データに基づいたPHITSシミュレーションは、PHITSに内蔵されている核反応モデルや既存の重陽子核反応データベースTENDL-2021に基づいたPHITSシミュレーションよりも実験値の再現性が大きく向上することが分かった。 なお、今回評価したAl-27, Cu-63,65, Nb-93に対する重陽子核反応データは、汎用核反応データベースJENDL-5中の重陽子サブライブラリの一部として既に公開されている。また、その他の特記事項として、昨年度に執筆・投稿したLi-6,7, Be-9, C-12,13に対する重陽子核反応データベースJENDL/DEU-2020の開発に関する論文が、第54回(2021年度)日本原子力学会賞論文賞を受賞した。
|