研究課題/領域番号 |
19K15484
|
研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
佐藤 優樹 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 福島研究開発部門 福島研究開発拠点 廃炉国際共同研究センター, 副主任研究員 (20632409)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 形状可変ガンマ線イメージャ / コンプトンカメラ / Structure from Motion |
研究実績の概要 |
初年度は、1 cm角のCe:GAGGシンチレータとSi受光素子の組み合わせからなるガンマ線センサーを、「傘」の骨の形状をした開閉可能な芯材の前段と後段に32チャンネルずつ配置した形状可変コンプトンカメラを用いて試験を実施した。具体的には、実験室における137Cs線源の測定および福島県環境中に存在したホットスポットの測定により、装置の動作試験を実施した。さらに、モンテカルロシミュレーションによって「傘」の開き角度と得られる角度分解能および検出効率の関係を調査するとともに、その結果を踏まえて、より小型・軽量な装置を目的として4 mm角のCe:GAGGシンチレータを用いた64チャンネルガンマ線センサーヘッドを製作した。なお、これらの装置製作および線源とホットスポットの可視化試験は、富山高等専門学校と共同で実施した。 併せて、デジタルカメラやビデオカメラを用いた多視点ステレオ写真測量(SfM: Structure from Motion)による自己位置推定技術と、別途用意したガンマ線イメージャ(コンプトンカメラ)を用いたガンマ線イメージング技術を組み合わせることにより、ガンマ線イメージャの自己位置推定を可能にするとともに、SfMで再構成した作業環境の3次元仮想モデルに放射性物質のイメージを投影することにより、放射性物質のイメージを3次元的に表示し、その位置を3次元的に特定できることを確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに、初年度は形状可変コンプトンカメラを用いた137Cs線源および福島県環境中に存在したホットスポットの可視化試験を実施した。さらに、より小型・軽量な装置を目的とし、試験にて使用した1 cm角のCe:GAGGシンチレータと比較してサイズを小さくした4 mm角のCe:GAGGシンチレータを用いた64チャンネルガンマ線センサーヘッドを試作した。 加えて、デジタルカメラやビデオカメラを用いた多視点ステレオ写真測量(SfM: Structure from Motion)による自己位置推定技術と、別途用意したガンマ線イメージャ(コンプトンカメラ)を組み合わせることにより、ガンマ線イメージャの自己位置推定を実施するとともに、SfMで再構成した作業環境の3次元モデルに放射性物質のイメージを投影することにより、放射性物質の位置を3次元的に特定できることを確認した。 以上、2つの要素技術に関する項目について初年度に実施できたことから、計画通り進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
初年度に製作した4mm角のCe:GAGGシンチレータを搭載したガンマ線センサーヘッドを用いてコンプトンカメラを構築し、引き続き、137Cs線源や福島県屋外環境におけるホットスポットを測定することによる動作試験を進める。得られる試験結果をもとに検出器構造を改良するとともに、廃炉の作業現場といった実際の環境へ装置を導入する上での課題抽出を実施する。さらに、多視点ステレオ写真測量(SfM: Structure from Motion)による自己位置推定技術とガンマ線イメージャの組み合わせ方法を引き続き検討する。SfMの自己位置推定精度や作業環境の3次元モデリングの精度、さらにはガンマ線イメージャの放射線イメージングの分解能が、放射性物質の位置を3次元的に特定する際にどのように影響するかを調査し、こちらも現場適用を目指した課題抽出を実施する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
多チャンネルガンマ線センサーヘッドの製作および多視点ステレオ写真測量に使用するビデオカメラの購入において、各々が予定していた必要経費よりも安価で製作ならびに購入できたため、次年度使用額が生じた。開発する装置の性能評価試験の際に使用する養生テープやケース、ケーブル等の消耗品の購入に充てる予定である。
|