研究課題/領域番号 |
19K15496
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
井上 賢一 東北大学, 理学研究科, 助教 (60707686)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 振動和周波発生分光法 / ヘテロダイン検出 / オゾン酸化反応 / フレネル係数 |
研究実績の概要 |
電気エネルギーと化学エネルギーを直接変換する電気化学反応は、近年のエネルギー問題・環境問題とも関連して重要性が増している。電気化学反応を理解するには、電位をかけたときに電極界面に形成される電気二重層の中での分子の溶媒和構造・吸着構造・中間体の構造を分子レベルで理解することが不可欠である。本研究では、界面選択的な分光法である振動和周波発生分光法にヘテロダイン検出・電場増強効果などを用いて電極界面反応の高感度なin situ測定を行い、得られた知見を基に電極界面反応の効率向上につながる指針を示すこと目指す。 2019年度は、ヘテロダイン検出振動和周波発生分光システムを構築し、その性能の評価を行った。光の位相を精密に制御することで、従来の手法と比較して非常に高感度で界面を測定することが可能であることを示した。特に、不飽和脂質単分子膜の極低濃度オゾン条件下における酸化反応をリアルタイムで追跡することに成功し、不飽和二重結合がアルデヒドへと選択的にかつ効率よく酸化される反応機構を明らかにした。以上のことから、電極界面などの固体/液体界面へと展開する上で十分な性能を備えているという結論に至った。 また、振動和周波発生分光法の実験を行う上で、フレネル係数の寄与を明確にすることが不可欠である。測定したスペクトルがフレネル係数の影響を強く受ける条件を明らかにするとともに、フレネル係数を求めるために必要な物質の屈折率をフーリエ変換型赤外分光の全反射(ATR)測定を用いて簡便に決定する手法を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初目標としていたヘテロダイン検出振動和周波発生分光システムを構築することができた。さらに、性能評価を行った結果、電極界面などの固体/液体界面へと展開する上で十分な性能を備えているという結論に至ったことからおおむね順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
構築したヘテロダイン検出振動和周波発生分光システムを用いて電極界面などの固体/液体界面の測定へと展開していく。さらに、実際に電極に電位を印加し、電極界面に形成される電気二重層の中での分子の溶媒和構造・吸着構造・中間体の構造の分子レベルでの理解に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響により参加予定の学会が中止となったため。また、試料・試薬の購入を次年度に一部繰り越したため。
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