研究課題
昨年度は、光の位相を制御して界面選択的な測定が可能なヘテロダイン検出振動和周波発生分光システムを構築し、極低濃度オゾン条件下においても不飽和脂質単分子膜に含まれる炭化水素鎖の不飽和二重結合がアルデヒドへと選択的かつ効率的に酸化される反応機構を解明した。2020年度は、まず同様の極低濃度のオゾン酸化反応における脂質のヘッドグループの影響の解明を行った。疎水性の炭化水素鎖は共通で親水性のヘッドグループのみが異なる不飽和脂質で作成した脂質単分子膜を用いた実験結果から、オゾン酸化反応の反応速度はヘッドグループの違いにはほとんど依存しないことが明らかとなった。一方で、反応後の界面の生成物はヘッドグループによって異なることを示唆する結果も得られた。次に、リチウムイオン電池において電極に形成されるSEI膜と呼ばれる被膜は、リチウムイオンは通過させつつ溶媒の分解を抑制する重要な役割を果たしている。和周波発生分光を用いた測定から、電解質溶液中に酸素が溶存している場合においてSEI膜の表面構造が大きく変化することを見出した。また、リチウム空気二次電池は、理論上最大のエネルギー密度を有することから次世代二次電池して期待されている。しかし、溶媒の分解は実用化に向けた大きな課題の一つである。電場増強効果を用いた表面増強ラマン分光や和周波発生分光などを用いた測定から環状炭酸エステル電解質溶液の電気化学条件下における分解反応に関する知見を得た。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)
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