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2020 年度 実績報告書

80 nm極端紫外超短パルスを用いた超高速液体光電子分光による光異性化の研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K15503
研究機関京都大学

研究代表者

山本 遥一  京都大学, 理学研究科, 助教 (70837319)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワード液体光電子分光 / 溶媒和電子 / 高次高調波発生
研究実績の概要

当初の計画では15.5 eVの極端紫外極短パルス光源を開発し、紫外光で化学反応を開始させ、その進行の様子を極端紫外光によって放出される光電子のエネルギー分布の変化として観測する超高速光電子分光に応用する予定であったが、このエネルギーでは溶媒による電子散乱の影響が顕著であることがわかったため、高次高調波発生による、21.7 eVの極短パルス光源を用いた。このエネルギーでは散乱の影響はほとんど無視できた。高調波の出力は非常に小さいが、発生した光電子のエネルギー分布が電子間反発の影響で歪む様子が観測され、十分な強度であることが確認された。DNA塩基の紫外線照射によって生じる電子励起状態の緩和ダイナミクスや、よう化物イオンの紫外線照射による電荷分離反応を研究した。特に、後者は過去にも紫外光を観測光に用いた研究が行われており、溶媒による電子散乱の影響が顕著であった。昨年度に開発したスペクトル回復法によって電子散乱の影響を取り除いた議論が可能にはなっていたものの、実際に散乱の影響が無視できる条件で測定したデータとの比較が求められていた。今回、高調波を用いて得られた結果はスペクトル回復法で得られた結果とおおむね一致しており、同手法の妥当性を示している。
また、真空紫外光源を励起光として用いた液体の光電子分光も行い、特に放射線化学と関わりの深い、液体の水から周囲の水に溶媒和され安定化された電子である水和電子が生成する過程を異なる励起波長(7.7 eV, 9.3 eV)に対して観測した。電子のエネルギー緩和はよく似ていたが、量子収率は異なっており、より高い励起エネルギーでは異なる反応経路が関与していることが示唆された。
このような研究によって、高光子エネルギー光源を用いた液体の超高速光電子分光による電子状態変化を実時間観測する手法を発展させることができた。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Ultrafast dynamics of water radiolysis: hydrated electron formation, solvation, recombination, and scavenging2020

    • 著者名/発表者名
      Yo-ichi Yamamoto, and Toshinori Suzuki
    • 雑誌名

      The Journal of Physical Chemistry Letters

      巻: 11 ページ: 5510-5516

    • DOI

      10.1021/acs.jpclett.0c01468

    • 査読あり
  • [学会発表] Ultrafast Dynamics of Water Radiolysis2021

    • 著者名/発表者名
      YAMAMOTO, Yo-ichi, SUZUKI, Toshinori
    • 学会等名
      第36回化学反応討論会
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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