単一分子接合の構造とトンネル伝導の機構を原子レベルで明らかにすることが研究期間全体を通じた本研究課題の一つの目標であるが、三脚型分子の架橋構造の推定と伝導特性(Small 17, 2006709 (2021).)の解明が代表的な成果となった。通常の単一分子接合ではチオールアンカーなどを用いて電極と接合させるが、より安定な接合を維持するため、アンカー部位と分子骨格の間でπ共役が維持された新たな三脚型分子の架橋構造と伝導特性を明らかにした。特に架橋構造の解析には、測定で得られた電流―電圧曲線に対して教師なしクラスタリングを導入し、データ科学の観点からも新たな解析方法を提案することができた。
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