高次励起状態にある分子はKasha則に従い、速やかに最低励起状態まで失活する。そのためその寿命は極めて短く、特例をのぞいて発光や光反応効率は低い。本研究では平滑なナノシート表面が分子内運動・内部転換を抑制する"場"として機能しうると考え、これを用いた分子の高次励起状態の長寿命化・発光増強を目指した。 ナノシート表面において金属ポルフィリンのS2発光増強およびS2状態の長寿命化に成功し、この効果はS2状態の内部転換の抑制によるものであることを明らかとした。また当該効果はポルフィリンの対称性とある程度の相関関係があり、対称性が高い金属ポルフィリンにおいて顕著なS2発光増強効果が現れることを見出した。
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