蛍光センサは、細胞中の化学種の分布を調べるためのツールとして有用である。酸素活性種は生体のシグナル伝達に大きな役割を果たしているが、その反応性が高く存在量が少ないため酸素活性種のための高感度センサの開発が望まれる。本研究では、環状分子と軸分子からなるポリロタキサンを用いることでターゲットとなる化学種の刺激を増幅可能な蛍光センサを開発できると着想した。本研究では試験的に[2]-ロタキサンを合成し、フッ素アニオンとの反応を実施することで、ロタキサンの蛍光センサとしての有効性を検証した。その結果、フッ素アニオンの添加によってロタキサン構造の分解に基づく蛍光増強が観測され、本構造の有効性が確認できた。
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