本研究成果の最も大きな意義は,電子を安定化する新たな仕組みの実現である。これまで理論研究に提唱されていた仕組みを,実際に分子を合成して実現した点において意義がある。 また,これまで困難であったペルフルオロキュバンの合成手法を確立した点においても意義深い。本研究では基礎的な物性に着目したが,それ以外にも多様な応用が考えられる。例えば,キュバンはベンゼンの生物学的等価体であると提唱されていることから,ペルフルオロキュバンが創薬化学分野において新たなビルディングブロックになりうる。剛直でありながら光を吸収しない構造であるため,熱・光耐性の高分子材料の開発にもつながると考えられる。
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