概要:本研究では、2つのナノ空間を持つホスト分子を用いたキラル分子の内包と、構造変化によるキラル分子の認識・分離を目的とする。これまで生体内での分子認識を模倣して、様々な形状のホスト分子が報告されてきたが、既報のホスト分子は1つの空間しか有していない。それに対して、本研究では複数の空間を持つ物質としてMOFに着目し、MOFとポリマーを組み合わせたpolyMOFの構築手法の開拓に成功した。本年度では、昨年度に開発した側鎖型ポリマー配位子法( side-chain ligand polymer approach)に立脚した拡張型polyMOFの構築を行った。具体的には、ビフェニルジカルボン酸(BPC)部位を側鎖に有するポリマー配位子を合成した。次に、BPCポリマー配位子とZn(NO3)2をDMF中で混合し、100℃で加熱することで拡張型polyMOFの合成に成功した。また、昨年度合成したベンゼンジカルボン酸部位を有するモノマーと共重合を行い、側鎖型co-polyMOFの構築にも挑戦したが、研究期間の制限からMOFの構築条件の最適化に至らなかった。 以上本研究では、研究代表者が開発した側鎖型ポリマー配位子法をビフェニルジカルボン酸(BPC)に適用することで拡張型polyMOFの構築を達成した。
|