この研究により、ジスルフィド基の新しい物理化学的性質が、2つ明らかとなった。一つ目は、隣接ジスルフィド基の求核性である。これまで、ジスルフィド基が、有機化合物に対して求核性を示すことは知られていなかった。この発見は、これまでにない経路で、硫黄を含んだ化合物を合成できる可能性を示した。 二つ目は、ジスルフィド基が導電性を持つ可能性である。ジスルフィド基は、二面角が90度なので、化学的な常識から、導電性は期待されないが、ジアリールジスルフィド化合物を用いた電気化学的な研究により、両アリールは共役している兆候が見られた。この発見は、ジスルフィド化合物が新しい導電性物質となりえる可能性を示した。
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