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2019 年度 実施状況報告書

連続フロー合成を志向するキラルカチオン性金属触媒の非共有結合的固定化法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K15557
研究機関東京大学

研究代表者

齋藤 由樹  東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任助教 (70835298)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワード連続フロー / 不斉水素化 / キラルロジウム / 光学活性アミン
研究実績の概要

連続フローによるエナミドの不斉水素化反応は医薬品等の合成に重要な光学活性アミンを連続生産する効率的な手法である。これまで、バッチ条件・均一系触媒の開発は盛んに行われてきた一方、連続フロー条件で適用可能な不均一系触媒は非常に報告例が限られている。
今回、独自にデザインした表面アミン処理を施したメソポーラスシリカ上に酸塩基相互作用によりヘテロポリ酸を修飾した複合体が触媒活性種であるカチオン性ロジウム錯体に適した担体であることを見出した。
本複合体は入手容易な原料から3段階で合成可能であり、不斉カチオン性ロジウムの溶液と室温下撹拌するのみで簡便に固定化が実現される。得られた不均一系触媒は連続フロー条件において高い触媒活性を示し、対応する光学活性アミドが定量的かつ光学純度99%以上で得られた。触媒回転数は1時間当たり100を超え、また100時間以上の連続反応においても触媒の不活性化は確認されなかった。更により難易度の高い不斉水素化反応においては、不斉配位子の変更も行うことができ、高い光学純度で目的物が得られた。この際、触媒調製条件は変更の必要がなく、一般的な錯体の固定化法となることが実証された。本手法を用いて医薬品であるシナカルセト・リバステグミン等の中間体の連続生産を達成した。
不均一系触媒のキャラクタリゼーションの結果、触媒活性種は担体のメソ孔内に高分散に担持されており、均一系触媒とほぼ同様の錯体構造を保持していることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本研究課題は当初目的としていたエナミドの連続フローによる不斉水素化反応を確立している。特に、計画していた不斉配位子の変更による迅速な不均一系触媒のライブラリー構築は効力を発揮し、難易度の高い基質に対する不斉水素化についても短期間の検討で高選択性を与える不均一系触媒の同定に繋がった。
触媒のキャラクタリゼーションについても窒素脱離吸着測定・固体NMR・電子顕微鏡等のデータから活性種の構造について重要な知見を得ることができた。

今後の研究の推進方策

当初の第一目標であったエナミドの連続フロー不斉水素化については達成されたため、今後は本固定化法の更なる拡張に焦点を当てる。即ち、当初の検討ではカチオン性ロジウム種のイオン相互作用による固定化を想定していたが、この形式は担体上のアニオン部位の設計により他のカチオン性錯体についても適用可能となると考えられる。現在のアニオンとしてはヘテロポリ酸を用いているが、本アニオンは弱い錯体への配位能を有している。より、錯体のカチオン性を高めるためには非配位アニオンとして知られるテトラアリールボレートが適していると考え、現在ボレートアニオンの担体表面の修飾を検討している。今後はこの固定化ボレートを担体として種々のカチオン性錯体の固定化。及び得られる不均一系触媒の連続フロー反応への適用を検討する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2020 2019

すべて 学会発表 (2件) 産業財産権 (1件)

  • [学会発表] 不均一系Rh触媒を用いるエナミドの連続フロー不斉水素化反応2020

    • 著者名/発表者名
      齋藤由樹・小林修
    • 学会等名
      日本化学会 第100春季年会
  • [学会発表] キラルカチオン性ロジウム錯体固定化触媒によるエナミドの立体選択的フロー水素化反応の開発2019

    • 著者名/発表者名
      齋藤由樹・小林修
    • 学会等名
      第124回触媒討論会
  • [産業財産権] 連続フロー不斉水素化反応による光学活性アミンの連続生産2020

    • 発明者名
      小林修・齋藤由樹
    • 権利者名
      小林修・齋藤由樹
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      手続き中

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公開日: 2021-12-27  

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