研究実績の概要 |
目的とする電子不足シクロペンタジエノン配位子を有するイリジウム錯体を合成し、C-H結合切断活性を評価した。 2,5-エトキシカルボニルシクロペンタジエノンと1価イリジウム前駆体との反応によりシクロペンタジエノンイリジウム錯体を調整した。錯体構造は各種NMRとエックス線単結晶構造解析により目的の錯体が形成していることを確認した。 合成したイリジウム錯体は、理論計算の予測通り高いC-H結合切断能力を有し、ベンゼン中のsp2C-H結合を室温で、テトラヒドロフラン及びメタンのsp3C-H結合を70℃という低温で切断することが確認された。さらにテトラヒドロフランとの反応において歪んだアルケン類を水素受容体として用いることでこれまでは最低でも120℃が必要とされてきた触媒的移動脱水素化反応を70℃という低温で進行させることに成功した。
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