本研究では環状共役ケトンであるトロポンを配位子としたロジウム、イリジウム、および鉄錯体を合成し、その構造、物性、および反応性を明らかにした。合成したロジウム錯体を用いて触媒水素移動反応が進行することを見出した。また、関連するニッケル錯体の合成を検討した際に見出したトロポン誘導体の環縮小反応に関して、錯体化学的観点から詳細に機構を検討し、これを触媒化した。さらに、トロポロンと9-ヒドロキシフェナレノンとの構造類似性に着目し、後者のアミノ誘導体を配位子とした低原子価典型元素錯体を合成し、その物性・反応性を明らかにした。
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