研究課題/領域番号 |
19K15566
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研究機関 | 新居浜工業高等専門学校 |
研究代表者 |
大村 聡 新居浜工業高等専門学校, 生物応用化学科, 准教授 (50720710)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | レドックス / フェニレンジアミン / キノンジイミン / アミド結合 / 官能基変換 |
研究実績の概要 |
不斉配位子の設計合成が遅れていることから、簡略化した構造として、錯形成可能なカルボキシ基を有するフェニレンジアミンおよびキノンジイミン誘導体をモデル分子として用いることで、金属-配位子間の相互作用、および錯形成に基づく配位子部位の電子的特性の変化ならびにレドックス特性についての検討を行っている。現段階において、研究計画書に記載したパラジウム塩以外での遷移金属塩(銅、スズ)との相互作用の確認、ならびに配位子単体でのレドックス能についての検討を行っている。これらの成果について、現段階では発表を行えるまでには至っていない。 一方、種々の金属種を用いた配位子との相互作用の検討の過程で、アミノ酸部位導入に由来するアミド結合について、アルカリ土類金属の一種であるストロンチウムがプロトン源の存在下において結合開裂しカルボニル炭素の水素化が起こることが見出された。この現象について、Weinreb amideに代表される、アミド結合を足掛かりとする官能基変換反応への利用が可能であると考えた。そこで、研究計画申請当時に所属していた徳島大学の研究者と共同で反応における基質や条件検討を進めた結果、N,N-ジメチルアミド構造を有する種々の基質およびテトラメチル尿素について、禁水条件下ストロンチウム単体ならびに求電子剤としてのハロゲン化アルキルの共存下において進行するアルキル化およびアリール化について取りまとめ、学術誌への掲載がなされている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度に引き続き、これまでにレドックス活性を有する配位子について配位子と遷移金属間の相互作用について検討を行っている過程であり、実績の項で示したように、いくつかの遷移金属種を候補として見出す段階にとどまっている。 研究を進める過程で新たに見出されたアミド結合とアルカリ金属種間で起こる官能基変換反応についての精査および検討を行っていることが理由のひとつであり、当初の計画に従った研究展開にはやや遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
申請者の異動により、当初の研究計画記載の不斉に関連した研究については、現在まで継続しているコロナ禍に伴う人的移動の困難さのため、現在の所属において研究・分析が可能な配位子のレドックス機能の解明に集中して研究を進めることとする。測定対象はこれまでに合成が終わっている配位子とし、金属塩との錯形成ならびにレドックス特性についての研究を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
申請当初に旅費として計上していた、研究を展開するための情報収集として参加を計画していた学会がオンライン開催となったため、そのための予算の全額、および消耗品購入のための物品費の一部が次年度使用額として生じたものである。本経費については、現在の研究を進める上で必要なガラス器具な試薬といった消耗品の購入経費としての使途を計画している。
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