本研究では、可視光応答性と配座固定能をもつ自己組織化中空錯体を新奇に合成し、分子認識能を活かした特異的可視光反応を開発することを目的とした。可視光応答性をもつRu(II)またはIr(III)錯体、Pd(II)またはPt(II)錯体とピリジンを配位部位とするパネル状配位子から、分子認識可能な空孔をもつ中空錯体を合成した。中空錯体は分子量250程度の炭化水素まで包接できた。Ru(II)を含む中空錯体にアルケンを包接し可視光を照射すると、酸化反応が効率よく進行した。Ir(III)を含む中空錯体では可視光によるオレフィンのE-Z異性化や酸化的開裂反応が、従来の光増感剤に比べ短時間・高収率で進行した。
|