本研究では、金属-金属間相互作用を有する複核d8金属錯体を触媒分子として用いる可視光駆動型有機分子変換反応の開発に取り組んだ。反応条件を検討した結果、特にベンゾ[h]キノリン配位子を有するハーフランタン型二核パラジウム(II)錯体が光化学的な塩素引き抜き反応に活性を示すことを見出した。そこで、これを鍵過程とするベンゾ[h]キノリンの可視光駆動型C(sp2)-H結合塩素化反応を開発し、種々の実験および理論解析よりその反応機構を明らかにした。さらに、光酸化還元触媒を併用すれば、同原理を2-メチルキノリンのC(sp3)-H結合塩素化反応にも適用できることを見出した。
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