近年、高い発電効率を誇る固体酸化物形燃料電池の500℃以下での使用の需要の高まりとともに、その電解質として低温領域で高イオン伝導率を示す酸化物の開発が求められている。そこで本研究では、200-500℃の低温領域で高イオン伝導率の発現が期待でき、未開拓領域である異常高原子価Feを含むペロブスカイト型酸化物に着目した。高圧合成法などの特殊な合成法を用いることで、異常高原子価Feを含む新規酸化物を発見し、これらの物質の酸素イオンの脱離過程を含む物性を調べた。その結果、異常高原子価鉄イオンを含む酸化物は、典型的な酸化物よりもかなり低い温度で酸素脱離が生じ得ることを実験的に明らかにした。
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