本研究はプロトン親和性d-π混成電子系金属錯体を対象に、プロトン化と酸化過程を分けたトポケミカル的合成法を用いて、プロトンの動きと物理的・化学的性質が連携する固体の創製を目指した。結果、酸化的集積で得たカゴメ多孔性結晶はπ積層に由来する電子相関を示し、細孔へのプロトン導入が分子間電子移動と連動して構造不安定性を招いた。他方、光酸化性プロトンドナーとの混晶化で得たシート結晶は動的プロトンを持つ水素結合を与え、予期せぬ光安定化にプロトン移動と励起エネルギー移動の連動が関わることがわかった。シート結晶の金属種置換は光安定性に影響し、dブロック元素が寄与するプロトン-電子連動の関わる現象が示唆された。
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