神経細胞の細胞核から樹状突起(枝のように分かれている部分)に輸送された伝令RNAは記憶形成に関与すると期待されている。しかし、標的部位への局所的アクセス方法が難しいことや、解析のスループットの問題などがあり、局在するRNAの機能解析が難しく、未だ証拠となるデータはない。本研究は、申請者が開発した【A】細胞表面の非侵襲的形状測定と【B】液中物質の極微量回収を両立可能な多機能ナノピペットを基盤として、探針設計・回収プロセスの改善とともにRNAシーケンシングとの融合によりRNA粒子やエクソソームなどの微粒子を介して行う伝令RNA輸送の網羅的計測を実現し、神経細胞RNA輸送の分子機構及び機能を突き止めることを目的とする。走査型イオンコンダクタンス顕微鏡(SICM)による細胞表面の経時的形状イメージングを用いて、RNA輸送に密接に関連する神経細胞ナノスケールの構造変化を定量的に取得した。新しく開発したアルゴリズムにより、ターゲットの位置を予測して回収領域を選択し、回収時間を半分に短縮できた。さらに、探針表面のクリーニング法の開発により、同じ探針による繰り返し回収が可能になった。
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