研究課題/領域番号 |
19K15604
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
原賀 智子 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 バックエンド技術部, 研究主幹 (80715227)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | キャピラリー電気泳動法 / ポリアクリルアミドゲル電気泳動法 / アクチノイドイオン / 放射性ストロンチウムイオン / 高感度検出-精密分離回収 / 簡易・迅速スクリーニング / 蛍光プローブ / 化学ライブラリー |
研究実績の概要 |
本研究は、放射性試料中のアクチノイドおよび放射性Srに対する安全な分析法として、被ばくリスクの低減が見込める分析システムであるキャピラリー電気泳動法(CE)やポリアクリルアミドゲル電気泳動法(PAGE)などの電気泳動分離場を基盤とする精密分離-超高感度検出-回収法の確立を目指すものである。そのため、精密分離-超高感度検出-回収法の確立に必要なこれまでになかったCEやPAGEで機能するNpイオン(NpO2+,NpO22+)およびSrイオン(Sr2+)用蛍光プローブを開発するとともに、精密分離回収技術の開発を目指している。 令和元年度は、NpイオンおよびSrイオン用蛍光プローブを開発するため、金属イオン結合部位の化学ライブラリー(4座非環状型、6~8座非環状・大環状型のポリアミノカルボン酸骨格)を用いて、配位骨格の探索を行った。その結果、Srイオンに対して、8座大環状型のポリアミノカルボン酸骨格が適していることがわかった。また、精密分離回収技術の開発において、CEを用いた精密分離回収法に関する成果をとりまとめ、投稿論文として公表した。 令和二年度は、蛍光プローブの開発において配位骨格の探索を行い、Npイオンに対して、4座非環状型のポリアミノカルボン酸骨格が適していることがわかった。また、Srイオンに対しては、前年度までに見出した配位骨格を用いて蛍光プローブを開発し、精密分離-超高感度検出-回収法を適用した試験を実施し、放射性Srを分離回収することに成功した。現在、得られた成果をとりまとめて公表する準備を進めている。 今後は、Npイオンに適合する配位骨格を用いて、放射性試料の分析へ適用するための試験を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和二年度は、アクチノイドおよび放射性Srに対する精密分離-超高感度検出-回収法の確立に必要なこれまでになかったCEやPAGEで機能するNpイオン(NpO2+,NpO22+)およびSrイオン(Sr2+)用蛍光プローブを開発するため、金属イオン結合部位の化学ライブラリーを用いて、金属イオンに対する検出選択性を調査し、最適な配位骨格の探索を行った。Npイオンに対して適合する配位骨格を見出すことに成功するとともに、Srイオンに対しては、前年度までに見出した配位骨格を用いて蛍光プローブを開発し、精密分離-超高感度検出-回収法を適用した試験を実施し、放射性Srの分離回収に成功した。現在、得られた成果をとりまとめて公表する準備を進めており、本研究は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、Npイオンに適合する配位骨格を用いて、放射性試料の分析へ適用するための試験を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、ターゲットとした金属イオンに対して適合する配位骨格を見出すことに時間を要したため、物品費(消耗品費)の支出が予定よりも少なかったことなどが挙げられる。Npに対して適合する配位骨格を見出せたことから、今後、蛍光プローブ開発のために必要な試薬類、器具類を購入するための物品費(消耗品費)に使用するとともに、得られた成果を公表するために、論文投稿料などに使用することを計画している。
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